2019年10月に始動した「NEW ERA BRAND Challenge」は、 衣服のブランドづくりを志す女性を募集し、新時代のブランドプロデューサーを生み出すプロジェクト。優勝者は実際の商品化に向け、STORES.jpSHEsitateruCAMPFIREの4社からバックアップを受けることができます。

特別審査員として並ぶのはELENSIAクリエイティブディレクターの山賀琴子さん、株式会社ウツワ代表取締役のハヤカワ五味さんなど豪華な面々。

2か月間かけて進められてきたこのプロジェクトの栄えある優勝者となったのが、上平田蓉子さんです。彼女がNEW ERA BRAND Challengeにかけた想いや、パーソナリティに迫りました。

上平田さんが立ち上げるブランドコンセプト

目次

⒈ 「今の自分にできる全てを出し切った」NEW ERA BRAND challengeへの挑戦
2. ブランドを生み出す原点は、社会に出て感じた違和感
3. 「飛び込む」×「極める」上平田さんの人生哲学
⒋ 「私の挑戦を、見守って欲しい」上平田さんの見据えるビジョン

⒈ 「今の自分にできる全てを出し切った」NEW ERA BRAND challengeへの挑戦

NEW ERA BRAND chahhengeのグランプリ受賞、おめでとうございます!2ヶ月に渡る準備期間と審査を終えて、いかがでしたか?

ありがとうございます。
まさに「人事を尽くして天命を待った」コンペでした。

審査のなかで一番苦労したことは何でしょうか?

審査員の方々に、私のプレゼンを聞いて共感してもらうだけでなく、「このブランドの服を着たい!」と行動のスイッチに繋がる発表に仕上げることです。共感だけでは商品が”服”である意味がありません。

そのためには私の作る服がどうやって日常に寄り添うのか私は服を通して何を伝えたいのか、をリアルに想像してもらう必要がありました。

私以外のファイナリストは、アパレル業界で長年活躍してきた方ばかりでしたから、デザイン画や実物の商品を用意することで、ブランドを魅せる実力が素晴らしいことは十分予想できました。冷静に考えて未経験の私が拙いデザイン画だけで、それを超えられるわけがありません。

でも、何もしないうちから諦めたくはない。私は服は作れないけど、伝える方法は他にもある。今の自分には何ができる?そう問い続けて、「コンセプトムービーを作りたい」という答えに至りました。

しかし、最終審査の1週間前。
商品もまだ存在しないブランドで、動画撮影や編集のスキルもない。モデルは一体誰にお願いする?撮影場所はどうしたらいい?

状況は絶望的でした。

あらゆる人に相談の連絡をしたり、SNSで募集をかけたりしました。

…そして、奇跡の出会いが起きたのです。
ある先輩が、株式会社TORIHADA(※1)を紹介して下さいました。

最初は「一流の方に、こんな無名の私が個人的お願いをするなんて…」とかなり恐縮していましたが「夢への大切な挑戦なんだから行っておいで」という先輩の言葉に背中を押していただき、覚悟を決めて打ち合わせに向かいました。

初めて制作チームの方とお会いした時は、緊張で足はガクガクでした。でも熱意だけはどうにかプレゼンして、そうしたらなんと「一緒に夢を追いかけましょう!」と言って下さったのです。

上平田さんの熱意が伝わったんですね。

撮影風景

本当に奇跡だと思っています。
みなさんご自身のお仕事前後の深夜 / 早朝に撮影 / 編集作業をして下さって。無茶すぎるスケジュールの中なんとか最終審査までに完成させて下さりました。

自分1人では成し得なかったことが御縁のおかげで現実になり、私だったら名もなき個人を相手にこうなれるだろうか?と何度も自問自答し、「ここまでして頂いたのだから、絶対に優勝して優勝のご報告に行くんだ!」と並々ならぬ火事場の馬鹿力が発動しました。

それまで孤独に戦っていた私にとって、TORIHADAの想いを形にすることへの姿勢や家族のような温かさは本当に心に沁みて。大好きです。今日も一緒にモーニング食べてきました。(笑)

こちらが奇跡の出会いで完成したコンセプトムービー

【ぜひ、音量をONにしてご覧ください】
STAFF LIST
Producer/Dir/Cam:政井孝夫(TORIHADA)
PL/Cam:ヴァンミーターニコラス勇樹(TORIHADA)
Light:菅(TORIHADA)
Cast:haru. 高山千尋 高橋裕梨奈
Production:TORIHADA
(※1)株式会社TORIHADAは「鳥肌が立つ感動を作る」をビジョンに、クリエイティブとテクノロジーの力で感動体験を創出し、個人や企業の活動をサポートするエモテック企業です。
https://www.torihada.co.jp/


そんな渾身のムービー、とても共感しました。一番こだわったのはどんなところですか?

リアルであることに徹底してこだわりました。
ムービーに出てくる場面はすべて、私自身や友人のリアルな体験を元にしています。

朝、仕事に行くのが何となく憂鬱でも、好きな服に着替えて「今日も頑張ろう」と背筋を伸ばす。
会社でミスをして怒られて、でもその場では泣けないからトイレで気持ちを落ち着かせて、またデスクに戻る…。

雑誌やドラマなどで見るような、モデルさんがキラキラかっこよく着こなすシーンではなく、実際の現場に沿ったシーンを描くことで、私の服が日常に寄り添って応援するイメージを醸成することにこだわりました。

2. ブランドを生み出す原点は、20代女性が抱える義憤

ブランドの構想は、どのように進めてきたのですか?

ブランドをつくるのは初めてなので、まずはSHElikesのブランディング講座を何度も見て、講座の内容に忠実に構想しました。

講師の阿部さんが、「ブランドづくりの起点になるのは『義憤』(※2)だ」と仰っていたので、今自分が抱えている義憤を全部出してみると、「社会人女性として感じている悔しさ」が浮き彫りになってきました。

(※2)義憤とは、道義に外れたことに対する憤りのこと。

「悔しさ」ですか?

男女問わずですが、周りの人から服装を揶揄されたり、揶揄されているのを見かけることはありませんか?女性の場合はたとえばちょっと綺麗めな服を着ると「色気づいてる」、好きな服を着ていくと「仕事をなめるな」、一方で忙しくて服装に気を回せないと「女を捨てすぎ。(笑)」とか。

わかります!私は服にあまりこだわりがないので、その分「ちょっとダサいね」なんて言われることもよくありました。(笑)

自分の居た環境が特殊なのかな?とも思ったので、様々な業界の方に連絡してアンケートに答えていただきました。そうしたら私が感じていた通りの、あるいはそれ以上の違和感が、業界関係なく存在していました。

このアンケートを通して、一生懸命、自分の実力と努力で社会を渡り歩こうとお仕事を頑張っているのに、仕事と全く関係ないところで自己肯定感を傷つけられている方、それによって好きな服を着るのを諦めてしまっている方が多いことがわかりました。

そうは言っても、服装に限らず、他人の価値観や発言をコントロールすることはできないので、せめてどんなときでも自分を内側から奮い立たせてくれる「相棒」のような服を、同じように社会でもがく私からお届けしたい、と思ったのです。

私も社会人で同世代なのですごく共感します。
前職はデータサイエンティストで、このコンペに出場される前はアメリカ シリコンバレーに行かれていたんですよね?

そうですね。広告代理店でデータを使ってマーケティングを行う部署にいました。

ただ、私には好きなものがとにかくたくさんあってファッションも好きだけど、それと同じくらい教育やコーチングに関わる事も好きなんです。アメリカでは、8年の付き合いになる大学の親友たちと教育系の起業準備をしていました。

そこからファッションの世界を志したのは、どうしてですか?

20代の終わりが見えてきて、今一度結婚や出産などのライフイベントをふまえたキャリア設計を考えたとき、「教育事業は歳を重ねても続けていくだろうけど、大好きなファッションにキャリアチェンジするチャンスは、今しかない」と思い、帰国を決意しました。

帰国してからは、ファッションの仕事に就くため、たくさん模索しました。人に会ったり、色々なアパレル会社を調べたり、コンペに出てみたり。でも数々のトライをしてわかったことは、27歳、前職がデータサイエンティストで業界未経験な自分が、ファッションを仕事にするハードルは相当高いということです。

言わずもがなアパレル会社の採用条件は、経験者や専門学校を卒業した方対象ばかり。少しの可能性を求めて直接アパレル会社ににお門違いすぎる経歴と熱意を送りつけて、面接してもらったりしました。(笑)

「服飾の学校を出ていないから」「アパレル業界で働いたことがないから」
そんな理由で夢への道を断たれるのはどうしても嫌だったんです。だって「経験していない」という過去はどう頑張っても変えられないですし、過去の経験はどれも私の宝物なので否定する気にもなれません。

でも人生は一回きりなのだから、「好きなことを思いっきり仕事にしたい!やる前からダメなんて嫌だ!誰よりも頑張るからチャンスをください!」と、社会に叫びたくてうずうずしていました。

とっても熱くて素敵です。NEW ERA BRAND challengeに参加されたきっかけはなんだったのですか?

そんな叫びを抱いている時にSNS広告でたまたま見かけて、すごい勢いで応募しました。(笑)

当時はとにかくファッション業界にキャリアチェンジするためのチャンスにアンテナを張り巡らせていたので、とにかく何でも挑戦していました。そのうちの1つがこのNEW ERA BRAND challengeだったのです。

しかもちょうどその時期に、「私はファッションに携わりたいだけでなく、自分が手がけた愛を込めた商品で誰かを幸せにしたいんだ」と気付いた頃だったので、ブランドを0から立ち上げていくこのコンペに運命を感じました。

3. 「飛び込む」×「極める」上平田さんの人生哲学


今回のブランドプロジェクトのために作ったInstagramアカウントでも投稿はすべて手書きというこだわり。
Instagram アカウント: @hiroko_kamihirata (https://www.instagram.com/hiroko_kamihirata/)

上平田さんは新しい環境にも臆せず飛び込む行動力がすごいですね。その源になるような、ロールモデルや尊敬している人はいるんですか?

母ですね。

母は芸術家だったり、指導者だったり、肩書きがたくさんあるのですが、それらに共通するのは何歳になっても興味をもった領域に挑戦し続け、プロフェッショナルになるまで探究し突き詰めていくことです。

毎回帰省するたびにその姿勢と人間力をみて、もっと頑張らなければと思います。なので私も「一度きりの人生、色々な世界を飛び回って新しい価値観を学び、失敗も成功もどんどん経験する」という信念を大事にしています。

1つの分野を極めるだけでも大変なのに、いくつもの挑戦をして、全部極めることができるのはなぜなのでしょうか?

1つでも自分の努力で結果を出した経験があれば、”自分との闘い”への勝ち方がわかるからだと思います。それがわかれば、他の分野でも同じように努力を積み重ねることができます。

私にとってその原点となる経験は、2歳から続けてきた書道とピアノでした。

技術が上達するまでの”長期にわたる忍耐力”や、”自らと対峙する精神力”、”何もかも忘れて没頭できる集中力”はすべてそこから身につけました。

この経験をしていることで、他の分野でも「努力をすれば結果が返ってくる」と信じられる。

大事なのは、全ての努力が、すぐに結果に直結するわけではないということ。でも、頑張ったことは絶対にどこかで役に立ちます。無駄になることはない。全然違うところで取り組んできた点と点が繋がる瞬間やセレンディピティは、必ずあります。

私はそれを身を以て経験しているので、何事にも前向きに挑戦できるんだと思います。

まぁ、もともとかなりポジティブHAPPY野郎な性格なのもありますが(笑)他人からするとなんでもないことを「神様がチャンスくれた!」と捉えられるかどうかも大事ですよね。

最終審査に挑む直前のファイナリストの様子

新しい挑戦をする時は不安やネガティブな思いに捉われがちですが、上平田さんがポジティブに挑戦し続けられるコツを教えて下さい。

できない自分を受け入れること」かなと思います。

例えば私の場合は理系だったので、講義でプログラミングを使うことも多かったのですが、本当に苦手で、他の人の倍くらい頑張ったのに、単位を落としました。むしろ全然授業に出ていない子の方が点数が高かったです。(笑)でもそんな時も反省はするけど、自己嫌悪になるのではなく、「プログラミングが苦手なことは仕方ない。他の分野で頑張ればいいんだ!」と気持ちを切り替えます。

時には自己嫌悪に陥ることだって、もちろんあります。そんな時はSNSや外の世界の情報を遮断して、ひたすら自分と向き合っています。

自己嫌悪に陥る時は「なぜかわからないけど、もやもやする」と理由が明確になっていない事が多いので、今、自分のどの部分が嫌なのか、それをどう変えたいのか、変えるためにはどうしたらいいのかを考えて、自分の知らない領域だったら解決策を知っていそうな方に相談しにいきます。

自分のテンションを下げている要因を明確にするだけで心の軽さは全然違うと思います。

あとは、何をやってもうまくいかない時は絶対にあるので、そんなときは無理に頑張らないで、ただひたすらサボる日を作ります。

⒋ 「私の挑戦を見守って欲しい」上平田さんの見据えるビジョン

NEW ERA BRAND Challengeグランプリ受賞を経て、今後のビジョンを教えてください。

私が人生をかけて成し遂げたいことは、「人々がみな、自分の軸を持って活き活きとできる世界を作ること」です。

なぜなら自分が今、色々な社会のしがらみや理不尽にもまれながら、好きなこと・自分の意志を貫き通すことの難しさや意義、重要性を痛感しているからです。

今回はブランド立ち上げを物語の始まりとし、その先に自分が持つビジョンを少しずつ達成していきたいと思っています。

最終的には、お客様同士が直接交流できる場を作っていきたいです。服の売買だけに閉じたものではなく、私とお客様や、お客様同士の繋がりをオンライン・オフラインで作り、同志やロールモデルに出会える場を作りたい。

そして各々が自分の軸を持って、自分が主役の、自分らしい人生を見つけて歩んでいくまでの体験をつくっていきたいと考えています。

最近よく「男女平等」や「女性が働きやすい職場」など耳心地のいい言葉が謳い文句に使われているけれど、実際の社会は自分が想像していたよりもずっと、まだまだつまらない偏見や固定観念が多いし、妊娠や出産など自分の意志だけでは決められないキャリア形成に、時々女性に生まれたことを呪ったりもする

そんな女性たちに、同志である私が贈る服を着て、自身のなりたい理想像に向かって、諦めずに突き進んで欲しいです。

素敵ですね。ぜひ実現して欲しいです。
最後に、上平田さんと同じように、ブランド作りに興味がある同世代の女性にメッセージを頂けますでしょうか。

私もまだブランドづくりの途上なので、「誰でもできるよ」なんて無責任なことは言えません。たくさんの壁があると思います。

ですから、まずは私の挑戦を見守ってください。私がゼロからブランドを立ち上げる過程を発信することで、挑戦することの大変さも、楽しさも男女問わず同世代の皆さんに知ってもらいたい。私はみなさんの応援を糧にして、できることを地道にやっていきます。

その轍を見て「私もできるかも!」「挑戦してみたい」と思って自己実現に向けて一歩踏み出してくれる方がいたらそんなに嬉しいことはありません。

▼編集後記

「人生をかけて成し遂げたいこと×好きなこと」というコラボレーションから生まれたブランドは、審査員も唸らせる魅力的なものになりました。これから彼女の描くNo Rain, No Rainbowな世界が、楽しみでなりません。


縫製や工場など生産管理にまつわる部分に関して、知見の豊富なビジネスパートナーがもう1人いてくださったらいいなと思っているので、私のビジョンに共感してくださって、私と一緒にゼロからブランドを立ち上げてみたい、という方を随時募集しています!!!

※興味のある方は各種SNSのDMにてご連絡ください。
Instagramアカウント:https://www.instagram.com/hiroko_kamihirata/
Twitterアカウント:https://twitter.com/roco111o


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