旅行情報誌『じゃらん』の編集長、大橋菜央さん。

メディアからも引っ張りだこな姿から華々しい印象を抱いていましたが、お会いしてみると飾らない大阪弁、口にしたのは「根はネガティブ」「目標は持ったことがない」という意外な言葉…。キャリアウーマン、妻、一児の母として大活躍する大橋さんの言葉には、ミレニアル世代がしなやかに生きるための大切なヒントが詰まっていました。

▶︎プロフィール
編集統括部部長/「じゃらん」統括編集長大橋菜央さん
大学を卒業後、2006年にリクルートへ入社。営業・企画・事業統括を経験したのち、’12年より「関東・東北じゃらん」編集長に就任。現職は編集統括部部長、「じゃらん」統括編集長。’16年には結婚。仕事のみならず、プライベートでも大の旅行好きとして知られ、月に2回は国内を中心に旅に出かけている。


目次

  1. 80名のチームを率いつつ、毎日16時半退社。月に一度は子連れ旅行へ
  2. 「ロビーでお茶を頂けるなんて!?」期待値が低いからこそすべてに感謝、いつもハッピー
  3. 理想のライフスタイルを実現する秘訣は、はじめに「決める」こと
  4. 「ロールモデルは無くていい」自分の幸せは、自分の中に。

⒈ 80名のチームを率いつつ、毎日16時半退社。月に一度は子連れ旅行へ

(2018年SHEミレニアルウーマンアワードでも、みんなの憧れのワーママとして賞を受賞されました!)

大原:大橋さんは今、どんなお仕事をしていらっしゃるんですか?

大橋:旅行情報誌『じゃらん』の編集長として媒体に携わりながら、約80名の編集部のマネジメントをしています。

大原:80名をまとめていらっしゃるとお忙しいと思うのですが、普段はどういった働き方なのでしょうか?

大橋:時間は、平日の9時から16時半まで、と決めて働いています。電話とメールはつながるので、何かあれば対応していますが、子供ができてから働き方は大きく変えましたね。
土日は基本的に休みで、週末は隔週くらいで旅行に行っています。子供が生まれてからちょっと頻度は減りましたが現在でも月1以上は行っていますね。

大原:お休みもエンジョイされているのですね。

大橋:元々旅行が好きでじゃらんへの配属を希望したこともありますし、余暇の経験が仕事にも活きます。じゃらんに関わっていると行きたいところリストが増える一方なんです。


⒉ 「ロビーでお茶を頂けるなんて!?」期待値が低いからこそすべてに感謝、いつもハッピー

(大橋菜央さんインスタグラムより。)

忙しい中でも旅を満喫するじゃらん編集長の秘訣は、金曜日の午後から出発して2泊すること。日頃忙しいからこそ、旅先でゆっくり時間をとることでリフレッシュできるそう。
忙しい女性が大満足できる週末旅行のおすすめスポットは、熱海・箱根・軽井沢など短時間で行ける場所でのんびり過ごし、日曜のお昼ご飯を食べてすぐ帰宅すること。
ラッシュに被ることもなく、月曜に向けて上手く切り替えられるそうです。

大原:現在は編集長ですが、2006年にリクルートに入社されて初めは営業をされていたんですよね?

大橋:はい。当時新卒は全員営業から始まりました。もともと入社した時にクリエイティブテストを受けて、編集に行くことにはなっていたのですが、営業をやり始めたらすごく楽しくて、「営業がいい」と言い続けて、結局2年半営業をしていました。

大原:営業の仕事はつらくなかったですか?

大橋私あんまり社会人生活に対する期待が高くなかったんです。「きっと厳しい先輩がいるに違いない」「クライアントは最初は話も聞いてくれないに違いない」って思っていました。(笑)

でもいざ入社してみたら、親身になってくれる先輩が多くて、間違えて「お母さん」って声をかけてしまうくらい。(笑)クライアントの方々も、旅行業界に関わる方だけあって、おもてなしが大好きで、営業の私に対してもとても温かくしてくださいました。

厳しい言葉をかけられると思っていた分、「名刺を貰ってくれるんですか?!」「ホテルのロビーに座っていいんですか?!」「お茶飲んでいいんですか?!」と嬉しいギャップの連続でした。まだ返せる知識も少ない中とても良くしていただいたので、「仕事で恩返ししたい!」という想いでいっぱいでしたね。

良い意味で、全然想定していたのと違った社会人人生のスタートでした。

(SHEのミレニアルウーマンアワード授賞式の様子。)

大原:大橋さんはポジティブなイメージですが、最初の期待値は低く持っていたんですね?

大橋:私は根っこがネガティブなんです。今まで目標を持ったことや、これになりたいとか思ったこともほぼないです。

大原:それでは、一番のモチベーションの源泉はどこにあるのでしょうか?

大橋「目の前の人に恩返ししたい」「期待に応えたい」という気持ちですかね。期待してもらえるとも特に思っていないので「期待してくれるんですか?!じゃあ頑張らないといけませんね!」と。(笑)

私は仕事で「人の役に立つ」ということを決めているんです。営業から編集になったり、部長になったりと、役割が変わって何をすればいいのか迷った時には「どうやって人の役に立つのか」ということだけを考えてきたので、本質はいつもシンプルです。

大原:目の前の人の役に立ち続けることで、今のキャリアを築いてこられたんですね。先ほど目標を持ったことはないとおっしゃっていましたが、もともと編集長を目指されていたわけではないのですか?

大橋:肩書きや評価は全部副産物だと思っているので、それを最初から取りに行くのは間違っていると思います。「なりたい」という気持ちが悪いわけではありませんが、ゴールにしてはいけないんじゃないかと。登用されるかどうかはタイミングもあるので、自分の目の前のことを頑張るしかできないですよね。


⒊ 理想のライフスタイルを実現する秘訣は、はじめに「決める」こと

大原:役に立とうと思うと際限なく仕事ができてしまうと思いますが、いっぱいいっぱいにならないためにどんなことを意識されていますか?

大橋始める前にちゃんと先を見通すようにしています。「それいいね、とりあえずやる!」ということを繰り返してしまうと、仕事のボリュームに押しつぶされてしまうので、最初に目的を見定めて、やること・やらないことや、スケジューリングを考えています。当たり前のことですけど、ちゃんと意識することで、すごくやりやすくなりました。

大原:大橋さんのように効率的に仕事ができるようになるコツはありますか?

大橋自分が実現したいライフスタイルを先に描き、それをどうやって実現するか考える癖をつけるといいと思っています。

私は元々、”体力が無い”というハンデがあるんです。リクルートに入社した当時、周りは営業で何件回っても元気なのに私はぐったりで、「このままでは体力の限界で会社を辞めざるを得ない」と思いました。制限があるからこそ、どうやったら人より少ない行動で人以上のアウトプットを出せるのか考え工夫し始めて、それが習慣になったと思います。

なので「18時に帰って、家でご飯も作って、23時には寝る」とか「週に2回は習い事に行きたいから、時間を確保する」と、最初に具体的にしたいことやライフスタイルを決める。決めた後にどうすればいいかを考えると、頭って本当は偉いので考え始めてくれると思っているんです。

大原:「決めること」が秘訣なのですね!

大橋:最初は私も効率的ではありませんでしたが、考え方を変えてから週末の余暇の時間が仕事にも活きるようになりました。結婚してからは旦那に合わせて18時に帰るって決めて帰れるようになりましたし、子供ができて16時30分に帰ると決めたら帰れています。できるようになってから変えるのではなく、決めてから変えていくのが秘訣です。

大原:長い時間働いていないと不安、と思ってしまう人が私も含め多いと思います。すぐに大橋さんの考え方を真似したくなりました。

大橋:実現するには「当たり前」を疑った方がいいですよね。きちんとした資料を作らなければいけないと思っているけれど、メモで良いかもしれない。ミーティングもメールで済むかもしれない。本当のゴールに対して必要なことを最低限するように意識しています。

そして人と違うことを怖がらないことが大事ですね。違うことをするのは怖いですけど、同じことをしていたら「その他大勢」にしかなれない。自分のありたい姿を決めて、好きにしたらいいと思うんです。


⒋ 「ロールモデルは無くていい」自分の幸せは、自分の中に。

大原:「根っこはネガティブ」というお話がありましたが、ポジティブに変わっていったきっかけはあったんでしょうか?

大橋:母を泣かせてしまった事件がきっかけです。幼稚園の時、遠足で奈良公園に行った私に母が「面白かった?」とたずねて、私は「鹿のふんばっかりで面白くなかったわ」と答えました。すると母が「菜央ちゃん、いっつもそんなネガティブでお母さん悲しいわ」と泣かせてしまったんです。

その時から、「ネガティブでいると、周りの人を悲しませてしまう」と気がついて「周りの人には楽しい話をしよう」と心がけるようになりました。そうすると視点が変わっていって、本当にポジティブになっていきました。

大原:そんなに小さい頃から、内省を行なっていたんですね。こうありたいという理想の姿は、誰かをイメージされているんでしょうか?

大橋:実は私、「この人みたいになりたい」とロールモデルを置いたことが一度も無いんです。

大原:意外です!ロールモデル消失時代の今、キャリアがうまく描けず悩んでいる人もたくさんいらっしゃいますが、大橋さんはそこに困ったことはありませんか?

大橋:もともと持っているものが人それぞれ違うので、「目指す人がいなくてもいいじゃん!」と思っています。
自分自身の強みとか、自分にとっての幸せから理想をを描いていく方が、それぞれにあった活躍ができるんじゃないかと思います。


(大橋菜央さんインスタグラムより。)

大原:とはいえ、大橋さんのライフスタイルに憧れている読者も多いと思います。どうやったら大橋さんのように、仕事も育児も両立させながら、自分の幸せを実現できるんですか?

大橋:仕事と育児は二者択一になりがちですが、私はどちらも諦めないで理想から逆算していけばいいと思っています。
「お母さんがやるべき」と思われていることでも、実際は夫婦で分担できることもたくさんあります。保育園やシッター、周りの人を頼ってもいいし、やり方は色々ありますよね。

「3歳まではお母さんが愛情を注ぐ」というのも、一日中は結構辛いものです。保育園や親が面倒を見てくれている時間があれば、その間に自分はリフレッシュできて、子供に向き合う時にすごく愛情を注げる。仕事と同じでメリハリが必要だと思います。

理想の育児のあり方も人によって絶対に違うので、自分が良いと思うことを決めてしまって、人からどう言われるかは一切気にしないでいたらいい。自分の人生に責任が持てるのは自分だけです。どんな選択だって、自分が選んだら正しいと思います。

大原最後に、大橋さんがこれから挑戦したいことを教えて下さい。

大橋:またさらに働き方を変えていきたいです。平日の昼に子供を連れて行きたい学びの場もありますし、夫がアメリカ人でおじいちゃんとおばあちゃんがアメリカにいるので、年に数ヶ月アメリカからリモートワークで働けないかなとか…。仕事も家族の幸せも、ぜんぶ諦めたくないので、それを実現していきます!

大原:それは最高ですね!大橋さんが実現してくださったら、後進の女性たちの大きな希望になると思います。
本日はワクワクするお話を本当にありがとうございました!

 

編集後記

肩書きに振り回されず「役に立つこと」に徹し、自分の外にある「ロールモデル」や目標を目指すのではなく、自分自身を内省してキャリアを描く大橋さん。「ロールモデル」という言葉はご本人に嫌がられるかもしれないけれど、その姿は、まさにミレニアル女性のロールモデルそのもの。

「大橋さん、すごすぎます」と言うと、
「全然すごすぎないです。みんなわかっていること。絶対に出来ます。」
「どんな選択だって、自分が選んだら正しいんです。」

そう軽やかに言い切る彼女の笑顔に、人生の旅を進むエネルギーをもらえた気がしました。

 

子育てしながら自分らしくWebデザイナーとしての働き方を歩み始めた女性の話はこちら

【インタビュー】

SHEshares編集長 
大原光保子
上智大学社会福祉学科卒業(https://www.sophia.ac.jp/)「母と娘の関係/幸せの在り方」について研究。
「すべての女の子が自分らしく輝ける世界を作る」ために生きる。美容を通した国際協力を行う学生団体の立ち上げ、美容動画メディアの立ち上げ、ゼクシィ営業を経て、SHEに入社。将来の夢は作家。
文章とウイスキーが大好き。
Twitter:@Sara25Mipo
退職エントリ:https://shares.she-inc.jp/posts/4771028
エモい自己紹介記事:https://shares.she-inc.jp/posts/4482913

【執筆】SHEsharesライター 青葉
私のSHEとの出会いはSHElikesのライター講座。体験レポートを執筆したので、こちらもぜひご覧ください。
▷フルタイムで働いていても、未経験から2ヶ月で副業WEBライターになれた方法
https://shares.she-inc.jp/posts/4926111

 

Share Story
このストーリーをシェアする
ツイート シェア