狂ったように、愛してる。~vol.1 バランス~

コラム

うつくしいことばに触れると、吐息がもれる。

うつくしい音楽を聴いて、その唇に触れたいと思う。

うつくしいひとの耳元で空気を掻き混ぜるようにゆれるピアスに、くぎ付けになってしまう。

それらはすべて、バランスが良い。

わたしは、バランスについて考えているだけで、背中をそうっとなぞられているような気分になる。

バランスとは、水平となるたった一点を探すこと

色っぽいものやうつくしいものが好きだ。

ピアスに限らず、スカートやポニーテール、水をなみなみと注ぐ様子や恋心、天秤、ことば、音楽など、ゆれ動くものは色っぽくてうつくしい。

水平となる一点を探すためにゆれ続けること、バランスをとることからわたしは逃れられないのだと、物心ついた時から感じていた。

「バランスをとる」を「妥協する」「なんとなくいい感じにする」と解釈している人もいるけれど、わたしにとって「バランスをとる」とは「水平となるたった一点を探すこと」。

そこに流れる空気は決しておだやかではない。天秤を持った正義の女神が審判を下す瞬間のように、ギリギリと張り詰めている。

一点のみのうつくしさには意味がない

たとえば、ふらりと入ったbarのカウンター席に座る女性と視線が交わった瞬間に、ピアスがきらりと光ったら。たとえば、整然と並べられた本棚の隙間から見える向こう側で、ピアスがゆらゆらとゆれていたら───。

わたしはきっと、目を離せない。なにかの合図のような気がして、人生のターニングポイントを自ら掴みに行くだろう。

知らない人に声をかけたことなど1度もないが、もしかすると口を衝いて出るかもしれない。

 

こういったシーンでは、一点だけがうつくしくても意味がない。

ピアスだけではなく、明るすぎない照明、ふらりと入った店、視線が交わった瞬間。整然と並べられた本、向こう側にいる人のなめらかな動き。

このように、全体のバランスがとれているからこそ「うつくしい」と感じるのだ。

 

わたしはピアスを制作しているが、身につけた際の全体のバランスにはもっとも力を注いでいる。

髪形やからだ、好み、雰囲気から、女性とピアスが最もうつくしく見える長さ・パーツの色や数・角度を導きだし、照明が当たった際のパーツの光りかたにも気を遣う。

全体のバランスをとるために洋服や場所の指定はできずとも、好みや雰囲気を徹底的にヒアリングすれば一番良いバランスに近づけることはできる。

対象が色っぽく、うつくしく見えるピアスを作るためならなんだってするつもりだ。

‘‘バランス’’を狂ったように愛している

一点のみのうつくしさには興味がないし、意味もない。細部まで気を遣ったうえで全体的のバランスを保てなければ、存在する意味すらない。これはわたしのルールともいえる。

ただ、こういった価値観を人に押し付けるつもりは毛頭なく、課すのは自分ひとりだけ。

これからも一生、ゆらゆらとゆれながら「水平となるたった一点」を探し続けるのだろう。

わたしは、‘‘バランス’’を狂ったように愛している。

【執筆】

SHEshares編集部 めくばせ
2016年、服飾の専門学校に進学するも「わたしの人生で大切なものではない」と気づき、2017年1月に中退。同時期にライターを開始。現在はshares編集部としてライターさんのフォローなどをしている。
昔からモノづくりが好きで、2018年4月にはSHElovesでWebデザインを受講。ピアス制作やWeb制作にも注力中。
生粋の天秤座女で、常にフラット・バランス命。すべてを肯定し愛せる人間になりたい。
Twitter(@_____ilil_
おすすめ執筆記事
服飾学校を中退→Web業界へ。やさしい言葉で人々を救う‘‘保健室の先生’’が選んだ「自分を幸せにする」生き方
【私を救ったコトバたちvol.4】「あなたは大丈夫。人生はめちゃくちゃ魅力的だ。」

関連記事一覧

ライター育成します