“モヤモヤ”は、新しい世界への道しるべ。美容ライター・岩倉陽子さんに聞く、「好き」と「得意」の見つけ方

インタビュー

「今の環境、心地よいけれど何か違う気がする」「心がモヤモヤ、ザワザワ。一体これはなんだろう?」そんな気持ちになったことはありませんか。

今回のインタビューは、フリーランスの美容ライターとして仕事を謳歌されている岩倉陽子さん。「自分の好きなこと」と「得意なこと」を掛け合わせ、理想的な仕事の仕方をされている岩倉さんですが、独立に至るまでは常に心の”モヤモヤ”と戦ってきたそうです。

どのようにモヤモヤを乗り越え、自分の「好き」と「得意」を見つけることができたのか。「 21世紀を生きる女性のためのレッスンクラブSHElikes」ご登壇に先立ち、岩倉さんのこれまでのキャリアで得た”気づき”を伺ってきました。

1. 新しいことを始めても、モヤモヤが続いたキャリア前半

―はじめに、今のお仕事内容を教えてください。

今はフリーランスとして、美容ライターの仕事と、化粧品のマーケティングやコンサルティングの仕事をしています。マーケティングというとイメージがつきにくいかもしれませんが、「この化粧品をどうやってお客様に買ってもらうか」を、企業さんと一緒に考えたり、アドバイスをしたりする仕事です。

―かっこいいお仕事ですね。今のお仕事に至るまでに、どのような経歴を歩まれてきたのでしょうか。

母親がバリバリ働いていた影響か、「仕事をしたい」「自分が欲しいものは自分で買えるようになりたい」という思いがずっとありました。ただ、しばらくは何をやりたいのかがわからなくて……。新卒はベンチャー企業に就職しました。

そのベンチャー企業で、とある事業の立ち上げをやらせてもらったんです。そこで2年間仕事をしましたが、その事業がうまくいかなくて。私の力不足で、結果が出ませんでした。「事業を軌道に乗せたい」という気持ちが強かったからこそ、すごく落ち込んでしまいました。

そのタイミングで、シリコンバレーのベンチャーキャピタル(=投資会社)が通訳・マーケティングのポジションを募集しているのを見つけました。自信はありませんでしたが、「とにかく今より少しでも成長したい」という気持ちが勝り、思い切って渡米しました。

現地での仕事内容は、郵便の受け取りやレストランでの注文、投資家とのやりとりまで……。「フルタイム通訳」として何から何まで対応をしていました。すごく大変だったんですけど、それまでの自分では出会えなかったような方々にたくさん会うことができて、とても勉強になりましたね。でも「ずっと通訳がやりたいか」というと、そうではありませんでした。

―単身で渡米して、フルタイム通訳のお仕事。とてもパワフルですね!その後はどんな道に進まれたのですか。

日本に帰って楽天株式会社に入社し、4年間仕事をしていました。「一人前に仕事ができるようになりたい」という思いを胸に、優秀な人に囲まれながら学ばせていただきました。ところが、再び正体不明のモヤモヤした気持ちが生まれてきてしまって……。

楽天では、日々勉強させていただきました。いつもTVCMで見ていた商品のプロジェクトに関わらせていただいたりと、とてもやりがいがある仕事をさせていただきました。でも、「ずっと会社に所属しているのか」と自分に問うと、確信をもってそうは思えなくて。モヤモヤの正体が何なのか、ハッキリとはわからなかったのですが、自分の中で葛藤する時間が増えていきました。

2. 「‘‘何気なく”、‘‘苦じゃなく”続けられること」こそが自分の得意分野

―お勤めされているときはずっとモヤモヤがあったのですね。フリーランスとして独立されるきっかけは、どのようなものだったのでしょうか。

実は、これといったきっかけはなくて、勢いでした(笑)ただ、そのタイミングで、個人で美容ライターや、化粧品のコンサルティングの仕事のご相談をいただくことが増えてきて。それらが、独立を後押ししてくれました。ただ、独立して「うまくいくか分からない不安」よりも、このまま企業にいて「モヤモヤを抱え続けること」に耐えられなくなってしまったという感じです。

独立してからは、美容ライターや、化粧品のマーケティングのコンサルティングのお仕事を本格的にスタートしました。実はシリコンバレーで働いていた時から「自分は何がしたいのか」を悶々と考えながらずっとブログを書いていたんです。何を書いていたかというと、大好きな化粧品のこと。

でも当時はまさか自分が美容ライターになるとは全く思っていなかったし、将来の糧にしようと書いていたわけでもないんです。月に20~30記事ほどブログを書いてるうちに、周りから「なんでそんなにブログを書き続けられるの?」と聞かれることが増えたんですよ。あと、なんでそんなにしょっちゅうドラックストアに行っているの?とも言われました(笑)

私の中では書くことは‘‘当たり前”のような感覚があって、そんなに苦じゃなかったんですね。でも周りの人には「よく続くね!」と驚かれることが多くて。自分ではまったく大したことではなくて趣味でやってるのに、そういう風に思ってくれる人がいるんだと驚きました。

もしかしたら、“ 書くこと ”って私の強みなのかなと……。

▲岩倉さんの自宅にある化粧品の一部

―周囲のひとに言われてはじめて、自分の得意を自覚することはありますよね。岩倉さんの得意分野である「書くこと」と、好きな「化粧品」を組み合わせて今のお仕事になったのですね。

そうかもしれません。家のドレッサーいっぱいに化粧品を集めてしまうくらい、昔から化粧品を見ているだけで幸せな気持ちになれるんです。女の子って化粧品が好きな子が多いし、化粧品をコレクションすることはそんなに特別なことではないと思っていたのですが、友達が遊びに来たときに、私の家にある化粧品の数を見てすごくびっくりしていて。

そこから「もしかして‘‘化粧品や美容に対する情熱”と、‘‘書くこと”が自分の強みなのかな」と思うようになりました。

もともと独立したいと思っていたので、「よし、やってみよう!」と勢いで独立しました。そして、知人の紹介で美容ライターと、化粧品マーケティングのコンサルの仕事に繋がったんです。

3. 仕事相手への思いやりと自分のスペシャリティをもち、信頼してもらえるライターへ。

―好きなことと得意なことが重なった仕事ができると、幸せですよね。美容ライターとしてお仕事をする上で、気をつけていることはありますか?

一番意識しているのは、自分と仕事をする相手にどうしたら貢献できるか考えること。私がライターとして仕事をする相手は編集部の方です。編集部の方の仕事は、「読者の人が楽しんで読んでくれる記事」や、ためになる記事を世の中に出すことだと思うので、一緒にそのゴールを目指せるような仕事を心がけています。

「自分は○○ができます」や、「こんな経験があります」とアピールするのではなく、先方がどんな記事や特集を組みたいと思っているか、まず伺ってからご提案するようにしています。

―相手の一歩先を見据えた仕事ができると、信頼を得ることができますよね。ちなみに、美容ライターは人気が高いイメージがあるのですが、ご自身が差別化されているポイントがあったら教えてください!

“自分のスペシャリティを見つける”ことが大事。私自身は、10キロダイエットした経験があるんですけど、その経験を活かして【10 kg 痩せた】というダイエット記事のシリーズを書かせていただき、多くの方に読んでいただくことができました。

“自分のスペシャリティ”というのは、たとえば「保湿系の化粧水についてかなり詳しい」とか、「プチプラコスメについてめっちゃ詳しい」とか。そうやって他の美容ライターさんと差別化できる“スペシャリティ”を見つけることが大切だと思っています。

4. 意志をもって自分をコントロールする。フリーランスの時間管理術

―岩倉さんは、フリーランスとしてお仕事をされていますが、時間管理はどのようにされているのでしょうか。

定期的にいただいている仕事と、プロジェクトベースでその都度いただく仕事があるのですが、プロジェクトの仕事は可能な範囲で調整するようにしていますね。

これは私の課題なんですけど、朝がすごく弱いんです。午前中はぼーっとしていて、気づいたら12時になっていて、ランチに出かけてしまうことも(笑)仕事を詰め過ぎると午前中に動かなきゃいけなくなって、考える時間も減ってしまうので、できるだけ納期をギリギリにしないようにしています。

会社員時代も早起きが苦手だったので、独立後は自分の好きな時間に起きれるというのが大きなモチベーションでしたね。

―自分の好きな時間から稼働できるのはとても魅力的ですね。他に“時間”に関して意識していることはありますか。

混雑が大の苦手なので、「混む場所」には平日に行くようにしています。土日に混んでいる場所でも平日はほとんど空いているので、時間の節約にもなるしメリットが多いんです。

たとえばネイルサロンは、休日は3時間ぐらいかかること、ありませんか?平日なら1時間半で終わるんですよ!土日の半分の時間で済んでしまうわけです。

美容院や洋服の買い物も同じですね。土日だと試着室数名待ちが当たり前ですが、平日だと試着室にもすぐに入れるし、試着数の制限もありません。

「混雑」と「待ち時間」を避ければ、時間を有効に使うことができます。

―フリーランスならではの時間の使い方ですね。プライベートの時間も確保できているのでしょうか。

確保できていますね。フランスが大好きで、住む準備をしていて、毎週フランス語のスクールに通っています。

仕事のあとには家に帰って、いろいろな化粧品やパックを試したり、新しい入浴剤を入れて試してみたり……。もちろん友人と食事に行くこともありますが、オフの時間も自分の好きなことを楽しんでいます。

―これからフリーランスを目指している方や、時間を自由に使いたいといった方達に時間管理、タイムスケジュールに関して、何かアドバイスがあれば教えてください。

継続的にお仕事をいただくために、約束を積み重ねて、信頼を得ることを意識しています。たとえば、約束のひとつである「仕事の締め切りを守る」こと。私は締め切りが1週間だとしたら、だいたい5日間で終わらせるように意識しています。残りは、自分の中で‘“予備の日にち”として持っておくんです。

でも、急なご相談などで、3日で納品をお願いされることもありますよね。そういった場合は、相手にまず自分の状況を説明して、ご相談するようにしています。「調整してお受けしたいのですが、通常1週間お時間をいただいていて、他の仕事との兼ね合いもあるので、もしどうしても厳しそうなら、わかった時点でご相談させていただきたいです。それでもよければ、多めにみたとしても5日あればご納品できますのでお受けさせてください。」などとあらかじめ伝えるようにしています。

相手からすると3日で納品されると思っていたものが、2日目の前日に「あと2日ください」と言われたら、困るというより、信頼できなくなってしまうのではないかと思うのです。

でも先にこちらの状況をお伝えしておけば、トラブルも防げます。

すべてを抱え込むと不安になってしまうと思います。「間に合わなかったらどうしよう」とか。それを避けるために、お仕事の相手に自分の状況を‘‘共有する”ように意識しています。

5. ”モヤモヤ”は、世界を広げるサイン

―相手を思いやるような仕事の進め方をしていらっしゃるので、ご自身もお仕事しやすくなっているんですね。

最後に、昔の岩倉さんのようにキャリアに対して”モヤモヤ”を抱えているSHEsharesの読者の方へ、メッセージをお願いいたします。

私は独立にいたるまで、ずーっとモヤモヤしていました。行動するたびに、モヤモヤが大きくなってしまった時期もあります。「アメリカに行ってもやりたいことが見つからない」「大きい会社に入れて嬉しいけど、やっぱりこれじゃないのかな」って……。

今でこそやりたいことを見つけ、全力で好きなことをできていますが、「自分の知ってる世界に、もし本当にワクワクするものがないとしたら、それが答え」だということです。だからモヤモヤが続いているうちは、自分の世界をもっと広げる努力が必要だと思います。

ちょっと興味あると思うことがあるんだったら、やってみる。今の自分の頭の中の選択肢にワクワクする答えがないんだったら、違う選択肢を選んでみる。

やってみたからといって、別にそれに決める必要はないと思います。やってみて嫌だったら、わかった時点でやめてもいいと思います。それは失敗ではなくて、「“嫌だ”ということが分かった」というひとつの解が導きだせたと捉えることができます。

そう考えるともっと気楽にチャレンジできるのではないでしょうか。SHElikesのレッスンはそういうチャレンジにピッタリだと思いますよ!

―「嫌ならやめてもいい。それは失敗ではない」と思ったら、どんどんチャレンジできそうですね!私も勇気づけられました。素敵なお話をありがとうございました。

▷編集後記

「自分で仕事をきちんとできるようになりたかった」と、これまでの華麗なキャリアをさらりと語る岩倉さんが、とてもかっこよかったです。そんな岩倉さんの「ずっとモヤモヤしてきた」という言葉はとても意外でビックリ。「モヤモヤが答え」「モヤモヤしたら自分の世界を広げてみよう」というお話がとても心に響き、勇気をもらいました。

取材/花田奈々
文/石本 悠真子

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