私の仕事は「楽しい」を追求すること。フードコーディネーターりささんが考える「人生を後悔しないためのレシピ」とは?

インタビュー

現在、フードコーディネーターとして活躍中の菅原梨沙(すがわら・りさ)さん。大学卒業後、出版社に勤めるが夢だった飲食の道へ進む。恵比寿イタリアンにてコックとして勤務した後2015年に独立。日本の食材と土地の魅力を伝えながら生産者とシェフと食べる人を繋ぐコミュニティー「FOOD STORY project」では代表を務める菅原さん。そんな彼女が考える「人生を後悔しないためのレシピ」とは。21世紀を生きる女性のためのレッスンクラブSHElikesでのご登壇に先立ち、彼女のこれまでの人生をお届けします。

1.フードコーディネーターとは

ーフードコーディネーターとは、具体的にどのようなお仕事でしょうか?

私にとってフードコーディネーターとは一言で表すと『人』と『食』を繋いでいく仕事です。具体的な仕事内容は、料理のレシピ考案や盛り付け、商品PRにおいての雑誌や番組制作の手伝いをします。最近は動画の撮影に携わることが多いですね。例えば制作現場に行ってドレッシングをかけるシーンでは、サラダをたくさん作ったりと、主に裏方でのお仕事となります。仕事内容も多岐にわたるので「フードコーディネーターの仕事はこれ」といった明確な答えがあるわけではないからこそ「何をしていきたいのだろう?」 ということを模索していくことも、仕事の一つかもしれないですね。

ーりささんが代表を務めていらっしゃる『FOOD STORY project』についてもお聞かせください。

『FOOD STORY project』とは「日本の食材を今のライフスタイルに向けて提案する」をコンセプトに、人と食を繋げていく活動です。例えばテーマを決めて調味料の展示会やシェフと一緒に旬の食材のフルコース会を行なっています。さらに、オンラインコミュニティを通してより密接なコミュニケーションがとれる場を作っています。その際に生産者さんの個性が分かるくらい「〇〇さんがこんなふうに作っている食材です」ということを、伝えられるように意識しています。他にも先日テーマが「だし」の際に、香川県に行ってきたのですが、同じ日本でも東京と香川で外国みたいな違いがあるなと感じたんです。海に行ったり、現地の方とお話をしたりして、まだまだ日本には知らない魅力がたくさんあるなと改めて感じました。そのような日本の魅力も、食を通して伝えていきたいですね。

「『FOOD STORY project』で提供した甘酒スイーツ」

ーそんなりささんがフードーコーディネーターになった経歴をお教えください。

私がフードコーディネーターになりたいと思ったのは高校生の時です。調理師の祖母の影響が大きかったですね。遊びに行くたびに美味しいご飯を作ってくれて、その際によく仕事の話をしてくれたんです。それを話しているおばあちゃんの姿を見て「食に携わる仕事って楽しそうだな」と思ったのがきっかけです。両親からは小さい頃から「これしなさい」と言われることがなく、「好きなことをしなさい」と言われて育ちました。そんな環境だったからこそ、自分で好きな道を選び、ずっと好きなことに向かってこれたのかもしれません。

2.「食」への夢を諦めた、もやもやした日々。

ー高校生の時から食に携わる仕事を目指されていたのですね。ですが一度出版社に就職されていますよね?

そうなんです。好きなことをして育ってきた私なのですが、親には、「とりあえず大学には行きなさい」と言われていたので、高校卒業後に大学に進学しました。自営業をしていた祖父のように、いつか独立して経営したいという思いもあったので、経営学部に入りました。しかし、大学生活を過ごしていく中で何となく「料理を仕事にすることは出来ないな」と感じたのです。その後、会社員という働き方以外にも興味がありましたが「体感してみないと分からない」と思ったので、就活をしました。
その後、ご縁を頂いた出版社へ入社しました。そこでは絵本の書店営業を担当していました。子供達へ夢を与えることができる仕事だったので、すごく楽しかったですね。仕事へ取り組む姿勢や、会社員の仕組みも勉強になりました。だけどそれと同時に、どこかモヤモヤした気持ちも出てきたんです。

「フードコーディネーターの日常を切り取った一枚」

ー離職して今のお仕事につかれるまでの経緯をお聞かせください。

オーストラリアにいる友達に会いに行ったことがきっかけとなりました。夢に向けて真っすぐに行動に移していた「akiちゃん」。彼女の夢は 、世界中を船に乗って旅しながら人を助ける看護師「シップナース」になることでした。その船に乗るためには国際的な経験の資格が必要で、採用は最難関と言われているそうです。
そんな彼女を目の前に、今の自分と比べてしまいました。「りさは何がやりたいの?」と聞かれ、胸の内を話してみました。「本当は料理の仕事がしたかったんだ」ということを伝えると、彼女はストレートに『やりたいことがあるのにそれをやらない理由があるの?』と尋ねました。
最期を見送る瞬間に携わる仕事だからこそ、本当に大事なことが何かを知っていたakiちゃん。「患者さんの中にはね、最期までやりたいことが見つからない人、やりたくても出来ないっていう人がいっぱいいるんだよ。だから、りさがやりたいことがあるならやったらいいと思う。必ずできるよ!」
その言葉が後押しとなり、帰りの飛行機で仕事を辞めることを決めました。周りからは「まずは3年は続けなさい」と言われていたのですが、1年半で私は出版社を退職しました。

ー思い切って退職をされたんですね。勇気のいる決断だったと思います。

会社員を辞める時は本当に怖かったです。フリーになるということは「乗ったことのないジェットコースターに乗ることと」と似ているかもしれないです。いつ落ちるか分からない、だけど一度落ちてみたら「こんなもんか」と気付くことが出来る。落ちることは怖いけれど、落ちたとしてもまた登るものだし、乗り終わった後には爽快感を感じられます。実際私もジェットコースターは、本当は怖くて苦手なんです(笑)。だけど友達と一緒なら乗ることが出来ます。それも「いつも誰かに支えられながら前に進んでいること」と同じですね。

「『FOOD STORY project』で料理を提供するりささん」

3.フードコーディネーターの夢に向かって、模索を進める日々

ー退職されてから、どのようなことを最初にされましたか?

その後、料理に携わる仕事として、恵比寿のイタリア料理店でコックをしました。そして独立し、今までとは違って自由にはなりました。しかし自由すぎるが故に選択肢が多くなり、「何をしていきたいのか」が分からなくなってしまっていたのです。特に女性って、多様性や柔軟性があるからこそ、なんでも出来ちゃうんですよね。そんな私がとった行動は「既に独立している方や経営者にアドバイスをもらいに行く」ということでした。3か月程毎日違う方に会っていたので、およそ100人の方からアドバイスをもらいました。

ー100人ってすごいですね!どうしてその方法を選んだのですか?

もしかしたら他に効率的な方法があったかもしれません。だけどそれすら分からなかったので、ひたすら会いに行きました。その中で思ったことは、何かを決断する時、根拠があるのかどうかは別として、「誰かの一言」って大事だということです。先ほどのakiちゃんを訪ねた際もそうでしたが、自分で答えを探すことも、もちろん必要です。だけど「必ずしも正解ではないけれど、こういう選択肢もあるよ」と、その人自身が通ってきた道を聞くことにより、結果ショートカットになるんですよね。ただ、私は「この人良いな」という人の話ばかり聞くようにしていました。アドバイスを素直に受け入れられる恋愛相談や占いと同じですね(笑)。

「料理人の方々との勉強会の様子」

4.フリーで活動していく際に大事なこと

ーそんなりささんが今だからこそ思う、独立する前にやっておくべきことって何だと思いますか?

独立の前にするべきことは、『自立』だと思います。まずは「自分のことを好きになる」こと。そして「やっていることを好きになる」こと。独立当初はフードコーディネーターとして、何をしていきたいのか模索していましたが、「人を大事にする仕事がしたい」と思うようになってから、軸がブレなくなりました。 色んなことを経験することももちろん大事ですが、同じことを1年続けていた時よりも、3年続けていた時の方が応援してくれる人も増えました。なので「一貫性があること」も自立をする上では、必要なことだと思います。

ー「フードコーディネーターをやっていて良かったな」と思えた瞬間は、どのような時でしたか?

以前、開催した料理教室に、元々ファンの方が来てくれて、しかも嬉しくて泣いて下さったんです…。その時に「今までいろいろあったけれど、あの時の決断は間違ってなかったな」と思えました。
あと私は「誰かと一緒に何かを作り上げること」や、「終わった時の達成感」も好きなんです。これからも一人ではなく、たくさんの方と関わりながら、感動も与えていきたいですし、私自身も常に楽しんでいきたいと思います。なので「楽しいを追求すること」が今の私の仕事になっているかもしれないですね。

ーとても素敵なお仕事ですね。そして、お話している様子から毎日生き生きと過ごされている様子が伝わってきます。

理想とのギャップに悩むこともあるし、全部が全部は満足していないけれど「毎日が楽しかったら良くない?」とシンプルに思えるようにもなりました。「楽しくないけど、上手くいきそう」は、いつか必ず辛くなります。そうならないようにするためにも、「自分の中の『楽しい』が何なのか?」普段からぜひ意識してみて欲しいですね。そうすればきっと「後悔しない毎日」を過ごすことが出来るんじゃないかなと思います。

▷りささんのレッスン情報

そんなりささんがSHElikesのレッスンにご登壇されます!

SHElikesのサイトからご予約が可能ですので、ご興味ある方は是非サイトをご確認下さい。

レッスン名:「みんなで作ろう!アフタヌーンティーパーティー

開催日時:2017年9月10日(日) 14:00~16:00

開催場所:SHElikes 表参道教室(※表参道駅から徒歩5分の場所です)

申し込みはこちら:http://she-works.jp/likes/?utm_source=owndmedia&utm_campaign=interview&utm_content=20170908_002

▷編集後記

勇気づけられる内容なので、ぜひ独立や、新たな進路への一歩を踏み出したいという方に読んで欲しいです。普段生活をしていく中でどうしても忘れがちな「本当に大事なこと」。生きていく上で欠かすことの出来ない「食」を仕事とするフードコーディネーターだからこそ、本当に大事な「人との繋がり」や「自身の気持ち」と向き合ってきたりささん。さらにその想いを後世に伝えていきたいという、素敵な想いが伝わってきたインタビューでした。

SHEshares編集部 寺重

菅原梨沙(すがわら・りさ)

フードコーディネーター。大学卒業後、出版社に勤めるが夢だった飲食の道へ進む。恵比寿イタリアンにてコックとして勤務。2015年に独立し、商品開発・レシピ制作・撮影、収録調理&スタイリング・ウェブサイト作成マーケティングまでのディレクションを行っている。生産者・飲食店・食べる人を食の展示会でつなぐコミュニティ「FOOD STORY project」を2017年開始。

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