料理の道を0から走り続けた4年間。起業家、平井幸奈の仕事論

インタビュー

早稲田大学在学中に、「世界一の朝食」と評されるbillsのオーストラリア本店で総料理長のアシスタントを務め、自身のお店「Foru Cafe」をオープンさせた平井幸奈さん。日本初の「ブリュレフレンチトースト」のほか、「FORU GRANOLA」や「FORU COFFEE」などの商品も開発し、百貨店での販路も開拓するなどのバイタリティは、すべて”好き”が原動力になっていました。21世紀を生きる女性のためのレッスンクラブSHElikesでのご登壇前に、そんな彼女の学生時代から、最近結婚もして女性としての幸せを全うしつつも目指すこれからの目標について語っていただきました。

1.「就職ではなく起業しよう」決意の理由

ーゆきなさんは学生時代に日本初のブリュレフレンチトースト専門店「Foru Cafe」をスタートさせて、卒業後も経営者の道を選ばれていますね。飲食業界の会社に入社するのではなく、あえて自分で起業することを選択した理由をお聞かせください。

正直、就職するかどうかはとても迷いました。潤沢な資金がある企業で学んで、大きな仕事を任せてもらうように努力する道も選択肢の一つでした。
でも実際に、自分で事業をするより魅力的な仕事を見つけられなかったんです。起業して自分でゼロから切り開いていくことは、大変な分、2倍も3倍もやりがいを感じたんです。当時社会人の初任給くらいの利益は出せていたので、心配してくれる両親を説得できました。

「『Foru Cafe』のブリュレフレンチトースト」

2.人生を変えたbillsオーストラリアでのワーキングホリデー

ー大学2年生の夏にオーストラリアのbillsでワーキングホリデーを経験したそうですが、どのような経緯でそのようなチャンスを手にできたのですか?

はじまりは、大学入学と同時に広島から上京して始めたアルバイトでした。それまでも料理を作ることが好きだったので、カジュアルフレンチレストランのキッチンで働き始めたんです。そこが思いのほか厳しい職場で(笑)。でも、限られた時間とスタッフで作り上げた料理をお客さんに喜んでいただくことにやりがいを感じました。それに、厳しいながらも料理という自分の大好きなことを現場で学ばせてもらえて、お金までもらえるなんて天職だなって。そこで料理の世界に魅了されていきました。

『Foru Cafe』の店舗看板」

―そこから、billsとの出逢いにつながっていくのですね。

いくつかのお店でキッチンのアルバイトを続けた中で出会ったのがbillsです。billsは、お客さまをbillsのお家に招き入れるような空間でお料理を出すというコンセプトなので、パンケーキやスクランブルエッグのようなシンプルな料理もを提供しています。高級な料理で背伸びするよりも、自分にとって身近で、日常的な本当に好きだと思う料理を作って働ける環境がとっても幸せでした。

ーその後、どうしてオーストラリアのbills本店に行かれたのですか?

その当時は大学2年生で、留学を経験したかったんです。でも、そのためのお金は自分で用意しなさいと両親に言われて。
それなら、シドニーにあるbillsの本店で働かせてもらえないかなと思いついて、当時働いていた日本のbillsの料理長にお願いしてみたんです。そうしたら、現地にコンタクトをとってくださり、ワーキングホリデーのビザを取れば行ってもいいとOKを頂けたんです。

ー実際にbills本店ではどのような経験をされたのでしょうか?

最初は、シェフに「マイナイフを持っていません」というと、何しにきたんだと呆れられて。全く仕事ができませんでした。だから、入ったばかりの頃はキッチンの端っこでずっとパクチーの葉っぱをむしる担当をしていたんですけど(笑)。できることからコツコツ努力して、最終的には総料理長のアシスタントをさせてもらえるようになったんです。

「素敵な笑顔で当時を振り返る平井さん」

総料理長のアシスタント業務は、billsが今度イギリスに出す新店舗のメニュー開発の補助という夢のような仕事でした。総料理長がその場でぱぱっとレシピを考えて、「ここにこれを足してみて」と言われるままに味付けをすると、魔法のように美味しくなったりして。
そんな経験から、自分もいつか大好きな料理をゼロから作って発信していきたいなという想いが湧いてきたんです。

ーその後帰国して、学業と両立しつつ、どのように起業への準備をされていたのかお聞かせください。

当時お金も人脈も何もなかったのですが、周りに料理を教えて欲しいと言ってくれる友達がいたんです。自宅で材料費の500円だけもらって料理教室を開いたり、ケータリングの依頼を受けたりしていました。そんな中、日曜日に使っていないカフェを借りて、毎月1回日曜限定でフレンチトースト専門店をはじめました。SNSなどで拡散して、1か月前から100人のご予約が埋まる様になったので、このお店をビジネスとして継続したいと思うようになったんです。

―起業をしてとても忙しい日々を過ごされたと思うのですが、大学での単位の取得は大丈夫だったのでしょうか…?

大学1、2年生の間にほとんどの単位は取っていたので、両立するくらいの余裕がありました。大学の1限に出てからダッシュでお店に行って準備をして、そのまま夜まで働くなんて日もありました。テスト期間だけはは死に物狂いで勉強して、単位を取ることに必死でしたね。

3.”若手女性起業家”ならではの苦労

ー”若手女性起業家”という代名詞と共に語られることが多いと思いますが、ビジネスの場において「若手」起業家ゆえに苦労されたことはありますか?

「『Foru Cafe』にて撮影」

苦労はめちゃくちゃしました(笑)。年齢が若くて、しかも女性というのは強みでも弱みでもあるなと思っていて。応援してくれる方もいらっしゃいますが、飲食業界は取引先に一回りからふた回り上の男性が多いので、「若いから」と色眼鏡で見られることも多くあります。起業当初は業者さんに足元を見られて、価格を高く見積もられてそのまま取引をしてしまっていたこともあったりして。もちろん、知識が少なかった分、無防備に飛び込んで失敗したからこそ学べたこともたくさんありました。

ーたくさんの苦労を「学び」に変えていくゆきなさんの向上心を感じられるエピソードですね。大学を卒業し、”女子大生起業家”から次のステップに移行されていますが、今後どのような姿を目指していきたいですか?

”女子大生起業家”という肩書きが取れ、より本質がみてもらえるフェーズだと考えています。「女子大生がはじめたお店」ではなく「ブリュレフレンチトーストが美味しいお店」「グラノーラが美味しいお店」として、より多くのお客さまに来ていただけるようにしたいですね。

4.株式会社フォルスタイル、そして平井幸奈の目指す先は?

ーこれまでの飲食事業で様々なことにチャレンジされてきましたが、今後やってみたい事業があればお聞かせください。

今まさに取り組んでいるのは、「FORU GRANOLA」の新しい展開「サラダにかけるグラノーラ」です。
グラノーラってヨーグルトや牛乳で食べるというイメージがありますが、うちのグラノーラは、サラダやお豆腐にかけても美味しいんです!そんな提案をすることによって、新しい需要が生まれるんじゃないかなと思っています。グラノーラをサラダにかけるという新しい文化が根付いていけば嬉しいです。

「『FORU GRANOLA』サラダにかけるグラノーラ」

ー常に新しい提案を考えているのですね!他に、アンテナを張っているものはありますか?

あとは、お弁当にも注目しているんです。お弁当は”lunch box”とは少し異なる日本の文化です。
UberEats(料理をデリバリーできるアメリカのアプリ)なども広まってきているし、店舗の客席にとらわれずに届けられるお弁当に可能性を感じています。今もお弁当を早稲田大学で販売しているのですが、売上は着実に伸びているので、今後も販路を拡大しつつ力を入れていきたいですね。マーケティングとしても活用できると考えています。
既存事業の伸び代を最大限に伸ばしつつ基盤を固めた後は、その延長線上で「日本の食」にフォーカスをした新店舗をオープンしたいと思っています。
ForuCafeは私たちにとって0号店です。

ーそんなゆきなさんが大切にされていることがあればお聞かせください。

会社のスタッフも含め、みんなが自然体でいることです。みんなが自然体で、やりたいって思うことをやりたい。好きなことを仕事にするということはそういうことなんだと思います。

「『Foru Cafe』openの看板」

ー理想とされている生き方や今後の目標はありますか?

バリバリ仕事をしつつも、温かい家庭をつくってワークライフバランスのとれた働き方をする生活を目指したいです。
10年後どうしてるかは分からないけれど、中期的に考えたときには新店舗を出して、好きなことに打ち込みながらも目の前の人に幸せを届けられる仕事を軸にしていきたいですね。家族も大切にしていきます。

ーゆきなさん、インタビューにお答えいただき本当にありがとうございました。

▷ゆきなさんのレッスン情報

そんなゆきなさんがSHElikesのレッスンにご登壇されます!

SHElikesのサイトからご予約が可能ですので、ご興味ある方は是非サイトをご確認下さい。

レッスン名:「現役女性起業家から学べる、自分にしかできないビジネスの作り方」

開催日時:2017年9月5日(火) 19:30~21:30

開催場所:SHElikes 表参道教室(※表参道駅から徒歩5分の場所です)

申し込みはこちら:http://she-works.jp/likes/?utm_source=owndmedia&utm_campaign=interview&utm_content=20170904_001

▷編集後記

”好き”をとことん追求した結果、ビジネスとして成り立つまでに成長させたゆきなさん。いつでも迷うことなく一番幸せになれる道を選択してきた結果が、今につながっているのかもしれません。今後も、HAPPYな気持ちにさせてもらえるような新たな挑戦をとっても楽しみにしています。

SHEshares編集部 山越

平井幸奈(ひらい・ゆきな)

フォルスタイルCEO。1992年生まれ。2012年8月号より単身オーストラリアのシドニーに渡りbillsサリーヒルズ店、ダーリンハースト店で修行。総料理長のアシスタントを務める。帰国後、お料理教室・ケータリング、単発のカフェプロデュースなどを手がけ、2013年9月大学3年時に、日本初のブリュレフレンチトースト専門店『Foru Cafe』をオープンさせる。黄金比グラノーラFORU GRANOLA、ドラフトコーヒーFORU COFFEEも次々にスタート。

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