シアワセの因数分解

コラム

タヒチの地で出逢った、
タヒチの国花、白いティアレの花言葉、
「幸せすぎて怖い」

懐かしい気持ちを思い出し、
心の真ん中に稲妻が走ったかのように、
おののいてしまった。

タヒチからの帰り道、
飛行機から世界を見下ろしながら、
幸せすぎて怖かったことの数を、
指をおって数えていた。

大好きな人のそばにいられて毎日が楽しい。
だけど、
いつかサヨナラをする日が来るんじゃないかと思って孤独を感じたり、

好きな仕事をして、生活にも困ってないけど、
いつかこの安定が崩れるんじゃないかと思って恐怖を感じたり、、

幸せ慣れをしてないせか、
今の幸せを楽しむより、
その先の終わりを考えてしまっていたことに気が付いた。

私たちは今、
めまぐるしく変化し続ける社会の中を生きていて、
科学も技術も秒単位で進歩している。

人間がどんどんロボットに近付いて
ロボットはどんどん人間に近付いてきた。

高度に発達したAIは近い将来、
私たちの仕事の一部を奪うだろうとまで言われてきた。

インターネットもスマホも誕生して
色んなものが便利になったのに、
時間は前よりも少なくなった。

ビルは高くなったけど、
人の気は短くなって、

高速道路は広くなったけど、
視野はどんどん狭くなった。

お金を使ってはいても、
価値として残るものは少なく、
たくさん物を買っているけど、
楽しみは少なくなった。

専門家は大勢いるのに、問題は増え続け、
薬も技術も増えたのに、「原因不明」の病気は増え続けている。

こんな時代に、実際に会ったこともない誰かと、
現時点での自分のスキルやセンスや、
そんなあれやこれやを含めたすべてを四捨五入して、
人生に結びつけていくことは、
潔いのか投げやりなのか、分からないような気持ちになった。

タヒチからの帰り道、
こんな気持ちと、
誰かの憧れとか、新しい決意とか覚悟とかを乗せた飛行機が雲を抜けた窓に、
虹が架かっていた空に。

「正解じゃなくてもいい、
だけど納得した生き方を選びたい」と、
ほどけかかっていた私の糸を、
心の真ん中で固結びをした。

答えは一つじゃないかもしれないし、
何個も何個もあるかもしれないし、
場合によってはそもそも、
正解なんてないのかもしれない。

そんな問題とか課題に対して、
検証や証明はできないけれど、
自分のこれからを突き抜けるために
堂々と納得した生き方を叫び続けていきたい、と、心から願った。

たった2週間、日本を離れただけだったのに、
帰って来た生まれ育った国では、
総理大臣が変わっていて、
家の近くの文具屋さんはコンビニエンスストアになっていた。

たくさんの出来事が変わり続けているこんな時代で
唯一、この世で変わらないのは、
「変わり続ける」ということだけだなぁ、と私は感じながら
そのコンビニの前を通り過ぎた。

家が近付いてきて、リビングを照らす、
月光のような灯りを見たとき、
人が灯りにホッとするのは、
そこに人がいるのを感じるからだと気がついた。

人それぞれ、幸福論はあるけれど、
自分じゃない、誰かが「待ってる」とか、
そんな些細なことが幸せだったりする。

あの人の「大丈夫」って言葉、
たった、ひとことで、
なんだって、頑張れちゃうこともある。

誰かと暮らすようになって、私は、
「一人だけど独りじゃない」ことの意味を知った。

悲しい時は、悲しいままでもいいこと。
怖いときは、怖いままでもいい。
幸せになることを、急がないで。

「正解」は分かりにくいけど、
「間違い」は絶対に分かる。

だから、やっぱり、
間違いじゃない、その道で「納得」した生き方がしたい。
そしたら、この星は、もっと笑顔が溢れる星になるんじゃないかな。と。

家の扉を開けて、「おかえり」が聞こえて。
ふーっと、呼吸を感じたとき、
ため息よりも深呼吸したほうが
気持ちがいいことに気が付いた。

誰かにつきつけられた「あなたのため」
ではなくて、
100%「私のため」の選択がいいな。

KUBOTAKAZUKO

Instagramで1000年後の徒然草のような日常を綴り、開設2年でフォロワーは3万人を超える。
その透明感とリズム感のあるエッセイは、文章を読まなくなった世代へも話題を呼び、 同じ年頃の子供を持つ世代にまで影響を与えている。
Instagram:https://www.instagram.com/kubotakazuko/?hl=ja

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