趣味の海外旅行をビジネスにできたのは、人との出会いがあったから。人と人をつなぐメディア『旅MUSE』創設者・野々村ナミさんの仕事観

「好きなことを仕事にする」というのは聞こえがいいけれど、実際はそんなの無理なのではないか。毎日を忙しく生きていると、ふとそんな声が聞こえてくる瞬間があります。でも、やりたいことを見つけたときに行動を起こせば、人との出会いで道は拓ける。そう教えてくださったのは、海外旅行に特化したメディア『旅MUSE』を運営している野々村ナミさんです。

21世紀を生きる女性のためのレッスンクラブSHElikesでのご登壇に先立ち、野々村さんに趣味の海外旅行を仕事にした経緯、そして今の仕事で大切にしている想いを伺ってきました。

1. 人との出会いと行動で紡がれた、独立までの道

ー野々村さんのこれまでのキャリアについて、教えてください。

私は福岡出身で、高卒なんですよ。百貨店で働く華やかな美容部員に憧れていたので、化粧品販売からキャリアをスタートしています。とにかく早く社会に出て、働きたくて。

4年間くらい百貨店の美容部員として働いていましたが、お客様のお肌の悩みやニーズを聞いていく中で「化粧品の企画のお仕事をしてみたい!」と思ったんです。福岡で企画の仕事があまりなかったので、そのタイミングで上京しました。

1年間くらいいろいろバイトしながら東京を楽しんだあと、ランジェリーブランドのコスメ企画募集を見つけて、立ち上げから参画をしました。仕事内容は、オリジナルコスメの開発、紙面にのせる商品の買い付けまで。

そしてキャッチコピーなどのライティングとかデザイン、エディトリアル全般をやっていましたね。

ー幅広くお仕事されていたんですね!現在は海外旅行メディア『旅MUSE』を事業化し独立されていますが、どのように今の仕事に繋がったのでしょう。

当時在籍していた会社がすごく有給休暇を取りやすい環境で、周りの先輩も「来週から10日間休んでハワイに行く!」みたいなことが多くて。そういう環境にいると、自然と海外旅行に行くようになりました。次に行く旅行先について先輩に相談しているときに、「おしゃれな旅行サイトってあんまりなくないですか!?」という話になって。

その頃私が旅行に行くときに参考にしていたブロガーさんが何人かいたのですが、ブロガーさんは文章も写真も上手で、ガイドブックを見るよりもリアルで参考になったんです。

丁寧な情報を発信しているブロガーさんたちが1か所に集まって、おすすめの旅行情報を教えてくれるメディアがあったらいいなと心のどこかでずっと思っていました。

企画書を作るのは慣れていたので、自分で作った企画書を見せながらいろんな人に「こんなメディアどう思いますか?」と聞いて回りました。「すごいいいじゃん!」「見たい!」と反応が多かったので、そこから「じゃあ作ってみようかな」と思い起業しました。

経営者になりたいという想いよりも、旅MUSEというメディアが世の中にあったら便利だろうなという想いから、その手段として会社を作りました。特殊かもしれませんが、特に大きな決断もなく、自然な形で起業に至ったんですよね。


ー会社員と並行しながらではなく、辞めたあとで独立したとお伺いしましたが、勇気のある決断だったのではないでしょうか?

その時は「いける」って思ったんですよね。私の場合、周りの人との出会いに恵まれていました。メディアを作るのに必要な開発費用が最低限で済んだんです。周りの人に開発会社の社長さんを紹介してもらい、私が作りたいメディアの話をすると、そのコンセプトに賛同していただけて「作ってみよう!」ということになりました。ですので、お金が無いと悩む必要はなく、何か方法はあると思います。いろんな人に会うことで様々な選択肢が広がり、私の場合は自己資金の100万円で会社を登記して始めました。

―人との出会いが、野々村さんの挑戦を後押ししたんですね。

そうですね、むしろ人との出会いしかないと思っています。

自分でワークショップをおこなう時は、「とにかく人のネットワークを広げていくことが大事です」とお伝えしたいます。まさに、私自身がこれまでも今もすべて人との出会いでやっているので。

もともと福岡なので東京に人脈がなかったのですが、起業を決めたときはいろいろな人に会いまくっていました。週3回くらいで新しい人に会って、「はじめまして!私こういうメディア作りたくて、どう思いますか?」と売り込んでいましたね。

起業家やフリーランスになるには、新しいネットワークを持つことって大事だと思うんですよ。それに、経営者の人たちは頑張る気持ちのある人を応援してくれるので、いやな顔をされることもあまりなかったですね。「頑張りたいんだね、じゃあこういう人紹介してあげるよ」とか「なんか困っていることない?」と、私の熱意を分かってくれて色々よくしていただきました。だからこれっていうものが見つかれば、行動できることはあるんじゃないかなと思います。いろんな人と出会って、チャンスが来たときに相談できる人や力を貸してくれる人を持つことが大事なんです。

2. 国ではなく、人を通して旅行先を探すのが『旅MUSE』。徹底的に個性を活かすメディアづくり

―野々村さんが自ら行動されたからこそ、その出会いにたどり着けたのでしょうね。『旅MUSE』は1人で始められたのでしょうか?

はい。2014年12月に1人で始めて、まずはライターさんを探しました。とにかくいい記事を書いてくれる人を見つけることが大事だったので、サイトをリリースする前から「この人だ!」と思う方には「私こういうサービスを立ち上げる予定なので、ぜひライターさんとして参加してほしいです」とメッセージを送り続けました。意外と断られることはなくて、嬉しいことに「私もそういうのが欲しいと思ってたんです!」と言われることもありました。

コンセプトが「旅そのものの魅力を発信する」ということなので、旅行好きな女性たちはそのコンセプトに賛同してくれることが多かったですね。

旅MUSE公式サイトより」

ー旅MUSEの世界観に惹かれるライターさんは多そうですよね。みなさん、どのようなモチベーションをもって書いているのですか?

旅MUSEではライターさんのことを「ミューズ」と呼んでいるのですが、そのミューズになるというのを1つのモチベーションに置いてもらえているのかなと思います。やはり書く人が「書きたい」と思ってもらえるようなメディア作りをしないといけないなと。

それは、テーマを海外旅行に特化しているからできるのかなとも思っています。海外旅行って夢があるじゃないですか、世界観もキレイで。

あとは、ミューズ同士で交流しながら、お互いを高めあう仕組みができていますね。最近は『ミューズ会』というものをやっているのですが、人気のミューズさんの記事の書き方を勉強して、みんな書く度にスキルアップしています。

旅MUSEは最初、ミューズのブログの影響力をお借りしていたんですよ。ブログで紹介してもらって、そこから旅MUSEへ流入したりですね。最近はそれがようやく逆転し始めていて、旅MUSEから価値をお返しすることができています。たとえば、ミューズになったらInstagramのフォロワーが増えるとか。

基本的にミューズは発信することが好きな人たちなので、そこを楽しんでもらえているみたいです。

ーちなみに、旅MUSEの編集部はあるのでしょうか?

実は、編集部は最低限しか持っていないんです!!ミューズのみなさんはすごく質の高い記事を書いてくださるので、結果として編集部にたくさんの人数がいなくても機能できたんですよね。彼女たちのリアルな言い回しや書き方の特徴、それぞれの個性が旅MUSEの魅力だと思います。

旅MUSEは国で旅行先を探すのではなく、人で探すっていうのをキーワードにしていて。「今まで全然メキシコに行きたいと思わなかったけど、この人のメキシコの記事すごく素敵だからメキシコ行ってみたい!」と自分の固定概念からかけ離れた発見があると思うんですよ。

事実と異なる情報や誤字脱字は直すけれど、言い回しはそのまんま。「このお店は行かないほうがいい」みたいなネガティブなことも書かれていたりもしますが、それも情報として参考になりますから。

メディアとしては、ミューズにファンがつくことを目指していますね。

今年、ミューズと一緒にバンコクへ行きました

ーメディアに関わっている価値を、ライターさんにしっかり還元していく。それが結果的にユーザーのためにもなるような気がします。まさに、メディアの理想形ですね!

3. プライベートでの会話と気づきが、実は仕事につながっている

―野々村さん自身も、海外に行かれて記事を書くことはあるのですか?

月に1度は仕事かプライベートで行っています。旅ミューズに出稿してくださるクライアントの記事を書く際は、絶対に私たちが現地に行って実際に体験し、それを旅行記として載せています。基本的には毎月ミューズの誰かと一緒に行って、記事を書いてもらっています。

仕事で行くときには私は記事は書かず、ミューズの人たちが良い記事を書けるようにサポートをするのが私の役回りです。

プライベートの旅行では、プライベートの記事を旅MUSEに書いています。ミューズのみんながこんなに一生懸命書いてくれているのだから、私も書かなきゃいけないなと思って。「野々村さん書いてないじゃん」と思われてはいけないので(笑)

―一般的に見ると、プライベートの記事もお仕事のように思いますが…。

うちはミューズの方々は主役なので、仕事の取材では完全に私は裏方なんですよ。

旅MUSEの記事は、ミューズの方々が自分の大切なお金を出して行った場所の記事を書いてくれているわけだから、私も鏡になれるように頑張らなきゃなと。良い記事を書けるよう、ミューズの子たちの記事を研究して書いています。

―プライベートで行くからこそ、旅MUSEの記事へ昇華できるのですね。その他に、大切にされていることはありますか?

忙しいと思われがちなのですが、実は21時以降はほとんど仕事をしていないです。18時に終わることも結構あります!

土曜日はパソコンを見ないと決めていて、丸一日休みます。旅MUSEは夢のあるメディアだと思うので、私自身がしっかり休んで、自分の時間を大切にしたいと思っているんです。ゴールデンウィークも10日くらい休んでLAに行きました!

―休むときは休み、働くとき働く。ご自身なりのリズムがあるんですね。

最近周りを見ていても、フリーランスになる方が増えているじゃないですか。そこからの出会いで、新しいビジネスが生まれることもあると思うんですよね。

うちは社員数はまだまだ少ないんですけど、信頼できるミューズが50人近くいることが強みで。ミューズと連携しながらプロジェクトを進められる環境が整っているんです。

ミューズの子たちとご飯を食べていて、「なんかこれ面白そうじゃない?みんなでやってみようよ」と新しいことを始めたりもする。

そういうお話をする時間を持つことは大切だと思うんですよ。プライベートの時間のようで、実はすべて仕事につながっているのだと思います。

4. 海外旅行にいく日本人をもっと増やして、日本の未来を明るくしたい

―野々村さん自身、または旅MUSEとしての今後のビジョンを教えてください。

旅MUSEのビジョンは、「Girls Going Global」。私、初めて海外に行った時の視野が広がる感覚をすごく覚えているんですよ。きっと旅行好きな人たちも、その感覚をまた味わいたくてリピートすると思うんです。だから、海外に行ったことがないって、すごく勿体無いなと。

今、日本のパスポート保持者は4人に1人しかいないんです。若者の旅行離れがほんとうに深刻。

旅MUSEは旅行が好きな子たちが見るメディアなので、いずれは「海外旅行に行っていない人をいかに海外へ行かせるか」をやってみたいです。旅MUSEをもっと多くの人に知ってもらいたいし、ミューズの人たちと一緒に働きかけていきたい。まだ具体的には決まっていないですが、それはやらなきゃいけないミッションのような気がしています。

旅行好きな女の子たちのネットワークをここまで持っているのはうちくらいだと思うし、彼女たちは本当にアクティブでパワフルな女性たちなので、その力を集結したら1つのムーブメントを作れるんじゃないかなと思っています。

―日本でパスポートを持っている人が4人に1人というのは衝撃的でした。その理由は何なのでしょうか。

インターネットの情報で満足できるというのが1つの理由だと考えています。情報はたくさん転がっているので、見るだけで満足しちゃっているのかもしれませんね。

あとはテロも多いから、そういうニュースを見ると日本にいたほうが安心とは思いますよね。海外=怖いものと思われていて、知らないって怖いなと思います。

―海外に行くのとただ写真を見ているだけでは、全然違いますよね。旅MUSEにはタイムスケジューリングをそのまま使える記事がたくさんあって、すごく海外に行きたいと思いました!こうして実際に行動につなげることってたくさんあるんだろうなと。

そうですね。「旅MUSEを見てここ行きました」と言われるのがすごくうれしいですし、そういうメッセージをよくもらいます。そういう輪を広げていったら、素敵な日本になるんじゃないかなと壮大なビジョンを持っています。

今、働き方改革と言われて休みは取りやすくなっているけれど、じゃあ休みを取ってなにをするんだっていう…。休み方をどうするか、という次のステップになっているように思います。

そんな時こそ家にいるよりも、海外に行って新しい情報を持ってきてくれたりリフレッシュしてきてくれたりしたほうが日本のためにも会社のためにもいいんじゃないかと思っています。

いずれ国を巻き込んだプロジェクトをできたらいいな…!

ー野々村さん、素敵なお話をありがとうございました!最後に、SHEshares読者に向けて、メッセージをお願いいたします。

自分のワークショップの参加者の方にも、趣味や好きなことを仕事にするに当たって「どういうふうに決断されたんですか?」って絶対に聞かれるんですけど、私は本当に決断という決断をしていないんですよね。

でも、物事が流れるように進んでいくときってあると思うんです。まさに、タイミングなんですけど、自分が行動していないとその流れも作っていけない。

みなさんにはぜひ、流れが作れるように今から行動していってみてほしいと思います!

▷野々村ナミさんのレッスン情報

そんな野々村さんがSHElikesのレッスンにご登壇されます!

SHElikesのサイトからご予約が可能ですので、ご興味ある方は是非サイトをご確認下さい。

レッスン名:「"好きなコト"を仕事にするための具体的HOW TO講座〜趣味の海外旅行をビジネスに〜

開催日時:2018年6月23日(土)13:00〜15:00

開催場所:SHElikes 表参道教室(※表参道駅から徒歩5分の場所です)

申し込みはこちら: https://she-inc.jp/likes/courses/135/lessons/205?utm_campaign=18062313&utm_medium=shesns&utm_source=sheshares


▷編集後記

起業をする時も、メディアを運営する時も野々村さんが大切にされているのは、「人」。仕事を通じて、関わる人々にどんな価値を提供できるか?を考えている姿がとっても眩しく見えました。

人との出会いを作っていくためには、ただ待つだけでなく熱量と行動でそのきっかけを自ら作っていく。それをしっかりと積み重ねていった後で、気がついたら好きなことが仕事になっているのかもしれません。

SHEshares編集部

花田

野々村ナミ(ののむら・なみ)

ランジェリーブランドの商品企画部にて、 コスメブランドの立ち上げに従事。オリジナル商品開発、買い付け、カタログの紙面構成・エディトリアル全般を担当。

趣味である旅行領域にビジネスシーズを見出し、 2014 年6 月 【旅MUSE】を事業化するべく独立。同年12 月にβ版をローンチし、現在は日本女性のアウトバウンド促進のため日々邁進している。

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